第九=浄化(カタルシス)の儀式

ベートーヴェンの交響曲第9番合唱付は、年末に日本中で演奏される。

第九(だいく)を聴くと、聴いてゐると、浄化(カタルシス)の儀式に立ち会ってゐるやうな感覚になる。
今まで溜まってゐたものが、浄められていく感じがする。カタルシスが起こる。

日本人は、第九で一年間溜めてきたものを浄化するのかもしれない。

浄められるだけでなく、高められる。何か崇高なものへとつながる。
さうなんだ、かうでなければならないんだ、人間は!といふ思ひにかられる。

ベートーヴェンは、ほとんど耳が聞こえない状態でこの曲を作った。
かなり感情的な錯綜があったと思ふが、「苦悩から歓喜へ」といふテーマが、
見事に表現されてゐる。静かな想ひ(諦観の念)とたぎる感情の噴出と。

これを客観芸術といっていいのかだうかわからないが、数学的な正確さで、
見事に浄化を成し遂げてゐるやうに思ふ。

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