鈴木敏夫『ジブリの仲間たち』

今回は弊社の本ではなく他社の本の紹介です(笑)。
新潮新書から出てゐる鈴木敏夫さんの『ジブリの仲間たち』はたいへん勉強になった。

宣伝や広告について、ノウハウだけではなく人間的なつながりや時代を読む感覚等、いろいろ学びがある。

鈴木敏夫さんは数字にも強いらしく、雑誌『アニメージュ』の編集長時代、発行部数と売れ部数の差が10%以内でわかった(読めた)と言ってゐる。映画の広告費と興行成績との関連も数字で捕らえてゐる。

それぞれのジブリ映画が、いろいろな人間関係の中で作られ、宣伝告知され、公開されていく様がリアルな感じで述べられていて、臨場感がある。

鈴木敏夫さんは、ヒットするかだうかは二義的なことで、いい映画を作ることが一義的なことだといふ信念で仕事をされてゐる。そして、いい映画を出し続けるために売ることをしっかりとやっていってゐる。やり続けてゐる。それも綿密に。時代の感覚にも敏感に反応しつつ。映画監督の意思を尊重しつつ。

キャッチコピーを作るのも、コピーライターの糸井重里さんを使ったり、作家をつかったり、一流の人を使って、練りに練りこんでゆく。時代の感覚をとらへつつ。

見習ふところがたくさんある。ありすぎるほどある。

弊社も時代の感覚をとらへてゆきたい。
(最近は、とらえられてゐない)

映画産業も時代とともに変はっていってゐるといふ。
出版界もさうだ。
電子書籍が出、POD(プリント・オン・デマンド:1冊ごとに印刷して製本する)が出始め、インターネット上でも文章が氾濫してゐる。