グルジェフは、芸術を客観芸術と主観芸術に分けた。主観芸術は作家なりが単なる妄想やエゴで作ったものであり本当は芸術ではないといふ。真に芸術たりえるのは客観芸術のみだと。
妄想やエゴから作られたものは価値がないといふことであり、妄想やエゴからではなく作られた作品が真の芸術である。
妄想やエゴではないといふことは、覚醒してゐるといふことだ。覚醒の芸術といふこと。
芸術作品を見るとき、また聴くとき、そこに妄想やエゴがあるかだうかが判断基準になる。
音楽の場合は、曲それ自体が客観(覚醒)芸術かどうかということと、演奏家が妄想とエゴで演奏してゐるのか、それを超えて演奏してゐるかといふことの二つの局面がある。妄想とエゴを超えた演奏は感動をもたらす。